集大成としてのワイン造り


ワインメーカーのデイヴはオハイオ州に生まれ、南アフリカで育ちます。幼い頃から食とワインに興味を抱いていました。その後アメリカに移住し、大学でホテルとレストランのマネージメントを学びます。15年間、ニューヨークやサンフランシスコでレストランを経営しましたが、ワインビジネスに専念する為にレストラン業界を去り、サンフランシスコを代表するワインショップ“フェリープラザ・ワインマーチャント”に就職します。数年後、バークレーのアーバンワイナリー“ドンキー&ゴート”の収穫作業に関わる機会を得たことで、デイヴのワインへの情熱は飛躍的に高まりました。
彼は、ウィンドチェイサーを立ち上げる前の10年間は、カスタム・クラッシュ(ワイン生産者がブドウを持ち込んで発酵や醸造を行う施設。 資金不足や規模の小ささで醸造施設を持たない生産者が利用している。)や自分自身のワインを造るという愛好家向けのサービスで、ワイン造りのあらゆる面を顧客に指導し、他の人々がワイン造りの喜びを感じられるよう支援してきました。
その後、機が熟し、遂に自分のワイナリーを立ち上げるチャンスを掴みます。ウィンドチェイサーは、レストラン経営からワイン造りまで、デイヴの長年の経験の集大成であるプロジェクトなのです。
ブドウ栽培者とのパートナーシップ


ウィンドチェイサーのブドウの調達先は、カリフォルニアの“メンドシーノ”と“エルドラド”に集中しています。メンドシーノでは、特に冷涼な“アンダーソン・ヴァレー”に焦点を当てています。芳香で高品質のピノ・グリやゲヴュルツトラミネール、ピノ・ノワールが手に入ります。
素晴らしいワインを造るには、素晴らしいブドウが必要だということはよく知られています。さらにデイヴは、才能ある献身的なブドウ栽培者との関係が無くては、ウィンドチェイサーのように畑を持たないスタイルのワイナリーにチャンスは無いということを、経験からよく知っています。その為、彼はブドウ栽培者達を頻繁に訪ね、彼らが早朝から長い時間、農作業に打ち込む場面に立ち会います。ブドウ栽培者とのより強固なパートナーシップが、デイヴの心をいつも奮い立たせ、セラーでの技術を毎年向上させていくエネルギーの源となっています。
最小限の人為的介入


ウィンドチェイサーは、毎年、そのヴィンテージの特徴が表現できると感じるブドウを探し、入手したら“最小限の人為的介入”を念頭に置き醸造します。“単一品種”を天然酵母で発酵し、樽発酵や全房発酵など、それぞれのブドウのポテンシャルを引き出す醸造方法を選んで少量生産しています。SO2の使用も最小限に抑え、“無清澄、無濾過”で仕上げます。クラシックでクリーンな味わいのものからファンカリシャス(Funky+Deliciousの造語)なものまで、手造り感溢れるデイヴのワインは、“サンフランシスコのアーバンワイナリーの中でも最高級のワインを生産している”と現地でも高い評価を得ています。
デイヴは、いつも“クリーン”で、どこか“風”を感じるようなワインを造りたいと思っています。「ウィンドチェイサー」というワイナリー名は、サーフィンを愛するデイヴが、長年に渡り風を追い求めて世界中を旅してきたことに由来しています。