“シャルドネ”のスペシャリスト


リキッド・ファームを設立する以前からCEOのジェフとワインメーカーのジェームスが好んで飲んでいたのは、自然な酸が豊富でその土地の個性を反映した、いわゆる“旧世界”と呼ばれる地域のワインでした。リキッド・ファームのミッションは、カリフォルニアの地で、自分達が求めてきた旧世界のようなワインを造ることです。
その為に彼らが拠点に選んだのは、カリフォルニアで最も冷涼なブドウ産地の一つである“サンタ・リタ・ヒルズ”。サンタ・バーバラに位置し、化石化した古代の海洋生物が堆積した沖積層があり、非常に複雑な地質です。気候、土壌の両面から見ても特別なワイン産地であり、彼らはその一部を担うことに誇りを持っています。また、産地の個性を最もワインに表現出来るのは、新樽を最小限または使用しない“シャルドネ”だと考えています。
サンタ・リタ・ヒルズ AVA


サンタ・リタ・ヒルズの土壌は、シャンパーニュ、シャブリ、コート・ドールに見られるものと類似しています。フランスでは、チョークや石灰岩によるカルシウムがワインに上質のミネラルを供給しますが、サンタ・リタ・ヒルズでは珪藻土によるケイ酸カルシウム(別名:シリカ)がその重要な役割を担っています。シャルドネの栽培適地にも関わらず、ピノ・ノワールが主要品種である同地にはシャルドネは約18%しか植えられていません。その入手困難なシャルドネを彼らが扱えるのは、信頼できるブドウ栽培者とのパートナーシップを重視しているからだと思っています。
手摘みで収穫されたブドウは、ロンポックにある醸造所で最小限の人為的介入で醸造します。“天然酵母”で発酵し、色、香り、アルコール度数を変えるような添加物は一切使用しません。マロラクティック発酵も自然に起こるのを待ちます。また、ワインに余計なアロマやフレーバーを加えない為に、主に“ニュートラルオーク(最低4~5回使用された樽)“を使用します。最終的に、サンタ・リタ・ヒルズの冷涼な気候と土壌を反映した、控えめなアルコール度数と豊かな自然な酸で料理を引き立てる“テーブル・フレンドリー”なワインに仕上げています。
加えて、彼らはマテリアルにも拘りを持っています。コルクは“DIAM”、二酸化炭素排出量を削減する為に従来のキャップシールは使用せず、ソフトワックス(蜜蝋素材)を使用します。
地上と地下で何が起きているのか


リキッド・ファームは、20年以上の長きに渡りワイン産業に従事したジェフ・ネルソンによって設立されたワイナリーです。ジェフは、シャンパーニュとブルゴーニュのトップメゾンで働いてきました。その後、サンタ・バーバラのドラゴネット・セラーズのワインメーカー、ブランドン・スパークス・ギリスの指導を受け、2009年からワイナリーを始めます。ワインメーカーのジェームスはアイダホ州の出身で、ドラゴネット・セラーズを通じてリキッド・ファームに加わることになり、ワイン造りのキャリアをスタートしました。パン職人の家庭で育った彼は、「パン作りとワイン造りは多くの類似したプロセスを含む」と、緻密で統一感のある卓越した味と品質を造り出す才能を開花させています。
二人の目標は、地上と地下で何が起きているのかを知ってもらい、その両方がワインと切っても切れない関係にあるということを伝えることです。ワインは結局のところ、大地と人間の手によって生み出されたもので、農作業からの液体だということを=「It is Liquid from Farming」。
その思いは、ロゴにも託しています。彼らが愛するタンポポに球根と色を付け、地下にあるものを地上へと運ぶ花(比喩的にブドウ)にしたデザインで、中央をかすかに走る線で“地上と地下”を表現しています。