ジュリアン・シャール

Julien Shaal

国・地域

フランス アルザス

story

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アルザスのグラン・クリュ畑の土壌の多様性に着目し、
「火山岩」「花崗岩」「石膏」土壌で育つリースリングから、
各畑の土壌の特徴を明確に表現した、個性溢れるワインを造っています。

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アルザスと南アフリカでのワイン造り

ジュリアン・シャールは、フランスの「最も美しい村」に認定され、リースリングの畑が広がるユナヴィール村(Hunawihr)に醸造所を構えるワイン生産者です。

当主ジュリアン・シャール(Julien Schaal)は、同じく醸造家の妻ソフィー(Sophie)と二人三脚でワインを造っています。勤め人の両親の家庭に生まれたジュリアンは、ワイン造りとは無縁の生活を送っていました。しかし、学生時代にホテル・レストラン学を専攻し、その際に受けたワインの授業がきっかけで、ワイン生産者としての道を歩む事になりました。

ジュリアンが初めて自らのワインを手掛けたのは、2003年に収穫の手伝いで訪れた南アフリカのケープ州でした。高地の冷涼な気候のポテンシャルに目を向けたジュリアンは、その気候を活かした良質で繊細な味わいのシャルドネを造り出し高い評価を得ました。その後、2011年に故郷アルザスでも自らのワインを造り始めます。オーガニックワインに拘るジュリアンにとっては、南アフリカと同様にアルザスこそが理想的な土地だったからです。

「旅と冒険が好き!」と話すシャール夫婦は、北半球と南半球を飛び回りながら1年に2回のハードスケジュールで、ワイン造りに挑戦しています。

グラン・クリュのリースリングに特化

アルザスのブドウ畑について、ジュリアンは「カレイドスコープ(万華鏡)」のようだと例えます。それは、他の地域とは比較できないほどの多種多様な土壌を持つ畑が、まるで万華鏡を覗いた様に組み合わさり、広がっているからです。

このアルザスの個性を生かしたワインを造るべく、ジュリアンは2011年にアルザスのグラン・クリュに特化したワイナリーを立ち上げました。アルザスのグラン・クリュは、各畑によりピンク色の砂岩、青色片岩、石灰岩、花崗岩、石膏、火山岩など、大きく異なる土壌特性があります。個性の強いグラン・クリュを選ぶ事で、より明確にアルザスワインの魅力を表現出来ると考えています。また、使用するブドウ品種はリースリングを選びました。品種本来の特徴に加えて、ブドウが育ったテロワールの要素がより的確にワインに現れる品種だからです。「グラン・クリュ」と「リースリング」を組み合わせる事で、アルザスならではの特徴である、土壌の多様性が明確に表現されたワインをリリースしているのです。

土壌の個性を尊重した辛口ワイン

ブドウは全て手摘みで収穫。丁寧な選果を行った後に空圧式のプレス機で圧搾します。その際は最良の果汁を手に入れる為に、最低でも12時間かけてゆっくりとブドウを絞ります。低温でデブルバージュを行った後は、“天然酵母”を使用し、主にステンレスタンクでアルコール発酵。リースリング品種由来の味わいを尊重する為に、マロラクティック発酵は行いません。その後は澱と共に熟成させて、翌年の7月に壜詰を行います。亜硫酸は壜詰前にだけ少量のみ添加しています。

近年は醸造家でもある妻のソフィーが中心となり、グラン・クリュ以外のリースリングやピノ・ノワールのリリースも始めました。ソフィーはブルゴーニュ出身で、ディジョンで醸造学を学び国家ディプロマを取得。その後、ブルゴーニュのいくつかの実力派ドメーヌで醸造の修業をしています。2013年に南アフリカへ収穫の勉強に訪れた際にジュリアンと出会い、アルザスで共にワイン造りを始めました。ブルゴーニュ出身者らしく、ピノ・ノワールに強い思い入れがあります。ソフィー・シャールのラインは、グラン・クリュよりも気軽に楽しんで貰う為のワインですが、醸造は彼らのグラン・クリュと同じ手法で仕上げています。

「土壌の個性を活かした、クリーンな辛口ワイン」をモットーとした彼らのワイン造りは、常に進化を続けています。