栽培農家からドメーヌ元詰めへ


コート・ド・ボーヌ、サン・トーバン村のドメーヌです。1世紀以上に渡りサン・トーバンを中心として、ピュリニィ・モンラッシェやシャサーニュ・モンラッシェに畑を所有しています。一部の畑は150年以上前から父から子へと代々受け継がれてきました。現当主の父アンドレが畑を引き継いだ1950年代にドメーヌは大きく成長しました。しかし当時は収獲したブドウを全てネゴシアンへ販売していました。その後1978年に現当主ミッシェルが跡を継ぎ、1983年に弟のジェラールと一緒に「ドメーヌ・アンドレ・モワンジョン・エ・フィス」を設立。少しずつドメーヌでの元詰め販売を開始すると共に、畑も拡大していきました。2003年にはサン・トーバン著名畑のひとつ「ラ・シャテニエール」を手に入れ、本格的にドメーヌとして販売できるワインのラインナップが揃いました。現在10ha程を自社所有しており、年間約27,000本を生産しています。
赤の最良1級畑「シュール・ガメイ」


赤・白の両方を産出するAOCサン・トーバンは、複数の丘が組み合わさって形成されています。ドメーヌ・モワンジョンは複数の1級畑を所有していますが、その中でも特にサン・トーバン赤の最良畑とされるのが「シュール・ガメイ」畑です。白の最良畑「アン・レミィ」「ミュルジェ・デ・ダン・ド・シャン」と同様に、ピュリニィ・モンラッシェと同じ丘の上部に位置しています。標高は400m程の南向きの斜面の区画です。以前にガメイ種が多く植えられていた為につけられた「ガメイ」地区にある為、「シュール・ガメイ」という畑名ですが、もちろん使用品種はピノ・ノワールです。モワンジョンは品種としてのガメイとの混同を避ける為に、畑名を敢えて記載せず「サン・トーバン・プルミエ・クリュ・ヴィエイユ・ヴィーニュ」としてリリースしています。
また「ピュリニィ・モンラッシェ・ル・トレザン」は、ピュリニィ・モンラッシェの村名区画の中でも最も高地に位置する“トレザン”区画のブドウのみを使用しています。両側を1級畑に囲まれた、平均樹齢70年の優良区画です。
新世代の技術も積極的に導入



2009年には、ミシェルの息子フローランがボーヌの醸造学校を卒業した後にドメーヌへ加わりました。2011年以降はフローランが全ての醸造を担当しています。彼は最新の技術を積極的に取り入れ、タンクや圧搾機など醸造設備への投資を行いました。2015年には発酵時の温度管理が可能なステンレスタンクを導入。またブドウを冷却する設備を購入した事で、収穫後のブドウの鮮度を保ったまま、醸造を進められるようになりました。一方でハード面だけではなく、栽培・醸造手法も変化させています。フローランは除草剤の使用を中止。発酵には天然酵母を使用し、以前より亜硫酸の使用量も少なくしています。父ミッシェルの時代は熟成を重視したスタイルのワインでしたが、現在では果実味が主体のピュアな味わいのワインに仕上がっています。