1850年から続くサンセールの老舗


ドメーヌ・ラポルトは1850年よりサンセールの東の玄関口でロワール川沿いのサン・サトゥール村に30haの畑を所有する老舗です。元当主のルネ・ラポルトは15年間AOCサンセールの代表を務めた、サンセールを代表する造り手でした。1986年からはラポルト家が家族同然の付き合いをしていた、同じサンセールの造り手アンリ・ブルジョワが実質の所有者となりましたが、2010年までは元当主のルネ・ラポルトが醸造に携わっていました。ルネの引退後はアンリ・ブルジョワの当主ジャン・マリー・ブルジョワの甥セドリックが醸造長に就任。ルネの息子と共に、ラポルト家が代々受け継いできたノウハウや哲学を活かし、更に品質を向上させています。
所有畑はサンセールとロワール川対岸のプイィー・フュメに合わせて30haを所有。80%がソーヴィニヨン・ブランで、残りが赤とロゼに使用するピノ・ノワールです。
サンセール最良の“シレックス”畑


サンセールは1億8千万年前から3000万年前の地殻変動により、ミルフィーユのように地層が折り重なり複雑なテロワールが存在しています。中でもラポルトが所有する代表的なテロワールがシレックス土壌です。シレックスの形成については諸説ありますが、石灰が長い年月を経て火山性のシレックスへと変化していったと考えられています。この土壌で育つブドウは、直線的なミネラルと複雑なアロマが特徴的で、長期熟成可能なワインに仕上がります。若い間はやや閉じ気味ですが、数年の熟成により複雑味と長い余韻を持つグラン・ヴァンへと変化します。シレックスの畑は表土に石が多く耕作が難しかった為、以前は造り手達の間で敬遠されていました。しかし造られるワインの品質の高さが注目を集める様になり、現在では多くの造り手がこのテロワールの入手を望んでいます。
ドメーヌ・ラポルトは、1850年より南東向きの優れたシレックス土壌の区画「ル・ロショワ」を所有しています。畑は周囲を木とロワール川に囲まれ完全に独立しており、20年以上前から有機栽培を導入。このドメーヌを代表する「サンセール・ロショワ・ブラン」及び「サンセール・グラン・ロショワ・ブラン」が造られています。
新天地ニュージーランドでの挑戦


1990年代よりドメーヌ・ラポルトのオーナーであるブルジョワ家は、ソーヴィニヨン・ブランとピノ・ノワールの新たな栽培地を求めて、世界各国を探しまわりました。最終的に2002年にニュージーランドの南島マールボロの手つかずの土地を買い、ブドウ畑として開拓。シャペル・ピークを始めました。
ドメーヌ・ラポルトがフランスの裏側にあるこの肥沃な土地において目指しているのは、サンセールで培ったワイン造りのノウハウを最大限に生かした最高品質のワイン造りです。サンセールと同様にブドウ樹を密植し、収穫量を厳しく制限しています。丘陵地の地質調査を行い、“グレイワッケ”と呼ばれる細かな褐色粘土の区画にはソーヴィニヨン・ブランを、以前に川の底にあり、流れてきた小石を多く含む褐色粘土の土壌にはピノ・ノワールを植えるなど、テロワールを強く意識したフランス流のワイン造りを実践しています。