3代続くエルミタージュのスペシャリスト


デ・ルミジエールは3世代続く家族経営のドメーヌです。アルフォンス・デムール(Alphonse Desmeure)が4haの自社畑からスタートしました。当初は収穫したブドウは共同組合へ納めていましたが、1973年から醸造も行うようになりました。1977年に息子のフィリップ(Philippe)がドメーヌを引き継いでからは、全てのブドウを元詰めし、ドメーヌワインとして販売をしています。また畑も少しずつ拡大していき、現在は38haを自社所有しています。
2005年にはフィリップの娘エミリー(Emilie)がディジョン大学での勉強を終えドメーヌに加わりました。現在は醸造長として全ての醸造を担当しています。大学で国家醸造士資格を取得したエミリーは、経験と理論に基づいた緻密なワイン造りに取り組み、その技術は高い評価を得ています。また弟のクリストフ(Christophe)も醸造学校を卒業しドメーヌへ戻り、主に栽培を担当。3代目の姉弟によって、今後も家族経営を続けていきます。
仏国内での人気が高く、主に個人顧客とレストランやワインショップへ販売されています。
環境への配慮“HVE認証”を取得


クローズ・エルミタージュは11のコミューンがあり、栽培面積は1,700ha以上と北ローヌ最大のアペラシオンです。その為、地域により異なる気候や土壌を有しています。アペラシオンの中心に位置するタン・エルミタージュ村の南東部は氷河期に形成された年代の異なる褐色粘土と小石の混ざる粘土石灰質土壌。主に平地に畑があります。一方、北西部の畑は急な傾斜地にあり、黄土とカオリンと呼ばれる白色の砂を含みます。最北部には黄土に覆われた花崗岩の区画もあります。デ・ルミジエールは5つのコミューンに複数の小区画を所有しています。クローズ・エルミタージュの多くの造り手は、複数区画をブレンドして一つのワインとして仕上げますが、彼らは区画毎に醸造を行いテロワールの個性を活かしたキュヴェをリリースしています。
各区画のテロワールをより明確にする為に、丁寧な畑作業はもちろんの事、畑の周囲環境の保全にも力を入れています。その取り組みの一環として、フランス農水省による、HVE(La Haute Valeur Environnementale)レベル3の認証を取得しています。
卵型タンク/228L樽/フードル樽で熟成


2代目のフィリップ以降は、畑の拡大と共に醸造設備への投資も、少しずつ行ってきました。特に彼らがこだわりを持っているのが醸造容器です。タン・エルミタージュに近い、メルキュロル村にある醸造所には、素材や大きさの異なる醸造容器がずらりと並んでいます。収穫したブドウを区画ごとに細かく分けて醸造する為に、多くのタンクや木樽が必要だからです。醸造に使用するのは、主に温度管理可能なステンレスタンク及びコンクリートタンク。一方で熟成には木樽を好みます。「熟成はキュヴェ毎に最適な容器を選択します。特に私達が好むのは木樽とコンクリート製タンク。ステンレスタンクはワインの成長を抑えてしまう為、熟成には使用しません」。
醸造はこの地域の伝統的手法で行われます。白も赤も100%除梗。白は低温でアルコール発酵後に、マロラクティック発酵も行います。赤の醸造中はピジャージュ及びルモンタージュを行い、丁寧にタンニンを抽出します。
また醸造長のエミリーは伝統的手法を維持ながらも、横向きの卵型タンク(縦より強度に優れている)など、新しい設備・テクニックの導入も積極的に行っています。