ブドウ栽培農家から元詰めドメーヌへ

ドメーヌ・ブアール・ボンヌフォワは、ファブリス・ブアールが妻カリーヌと一緒に2006年に立ち上げた家族経営のドメーヌです。
当主ファブリスは、元々は軍隊所属の警察として働いていました。一方でカリーヌの実家は、祖父の代よりシャサーニュ・モンラッシェ村に畑を所有する、ブドウ栽培農家でした。ある日、車が故障して困っていたカリーヌの祖父をファブリスが助け、祖父はお礼にファブリスを家に招待しました。それをきっかけに家族ぐるみの交流が続き、後にファブリスとカリーヌは結婚しました。カリーヌの両親の代までは、収穫したブドウとワインはネゴシアンへと販売していました。しかし、軍隊を退役したファブリスとカリーヌは、収穫したブドウから自らのワインを造る事を決意します。そして2006年、両親の助けを借りながら、二人はドメーヌ・ブアール・ボンヌフォワを立ち上げ、ドメーヌ元詰めワインのリリースを始めました。2017年からは、彼らの娘クララもドメーヌに加わり、家族でワインを造り続けています。
求めるのは質の高い“ピュアなブドウ”


品質の良いワインの為には、必然的に良質のブドウが必要です。シャサーニュ・モンラッシェという伝統のある区画において、良質のブドウを栽培し続ける為にファブリスが選択したのは、ブドウの樹に優しい土壌づくりと、持続可能な農業の実現でした。畑の状態を見極めて丁寧に耕作を行う事で、除草剤等の使用を抑える事が出来ます。その結果として、彼らの求めるより質の高い“ピュアな”ブドウが手に入ります。
所有している畑は、祖父の代は僅か1haのみでしたが、少しずつ買い増しを行い、現在はシャサーニュ・モンラッシェ、ピュリニィ・モンラッシェ、サン・トーバンに合わせて5haを所有しています。いずれも白が中心のAOCですが、彼らの所有畑の内1.5haは赤ワインに適した畑の為、ピノ・ノワールを植えています。元詰めワインの生産量は年間約20,000本のみ。残り70,000本程は、この地域の有名メゾン(フランソワ・カリヨン、マルク・コラン、ルイ・ジャド)へ、樽やボトルで販売されています。また、ファブリスの栽培技術の高さは広く知られており、他のドメーヌ(マルキ・ド・ラギッシュ:モンラッシェ)の栽培も任されています。
ブルゴーニュ伝統的手法による醸造


醸造は、昔ながらのブルゴーニュ伝統的手法を重んじています。
白ワインは、破砕・圧搾後にタンクで数時間の清澄後、木樽でアルコール発酵及びマロラクティック発酵を行います。赤ワインは、収穫したブドウを除梗し、そのままタンクへ移します。約10日程かけて発酵・浸漬させた後は、フリーランス果汁と果皮を分けて、果皮は100年以上前の垂直プレス機でゆっくりと圧搾します。その後フリーランス果汁と、圧搾して得た果汁をブレンドし、木樽で15~18ヶ月熟成します。伝統的垂直圧搾機は、手動でブドウの状態を見ながらゆっくりとプレス出来るので、ワインを疲れさせずにより質の高い果汁を手に入れる事ができます。また、ファブリスはブルゴーニュの伝統的ワイン造りを残していくことも大切だと考え、この歴史ある圧搾機を使い続けています。
醸造時の亜硫酸の添加についても、彼らは極力最小限に控えています。古き良きブルゴーニュを踏襲した、実直な造りによる昔ながらの味わいを感じて頂けます。