メドック最西端に根ざす兼業農家のドメーヌ


シャトー・ガデ・テールフォールは1921年より続く生産者です。メドック地区の最西端、ジロンド川の左岸下流の大西洋に近い村でワイン造りを行っています。彼らはブドウ栽培の他に家畜の飼育や林業も行うメドックの典型的な兼業農家です。ワイン造りを担当するのは3代目のアナイ・ベルナール(Anaïs Bernard)。農園で働く家族や親戚に囲まれて育ちましたが、一時は家を離れパリの名門経営大学院へ進み、税務監査官として働きました。しかし、一人っ子だったアナイは祖父の代から続くブドウ畑を守る為に、家業を引き継ぐ事を決意。ボルドーへ戻ると醸造学校に編入してワイン造りを学び、2011年より父と共にワイン造りを始めました。現在はアナイが当主となり、親戚の畑も含めて栽培と醸造の指揮をとっています。
アナイは新しい挑戦として、2018年より有機農法への転換を始めました。祖父の時代と同様に家畜の馬や牛で畑を耕し、彼らの糞を肥料にします。ブドウ畑の周辺に所有するアカシアの森は、伐採した木を木材として販売していますが、畑のパリサージュの為の杭としても使用します。また、この森はブドウ畑の周囲の生態系を守る大きな役目も果たしています。兼業農家ならではの、自給自足のブドウ造りが、今も実践されているドメーヌです。