シャトー・ミカレ

Chateau Micalet

国・地域

フランス ボルドー

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メドックでは珍しい家族経営の小規模生産者。“職人のワイン”造りに誇りを持ち、
同じ志の造り手仲間と新格付け“クリュ・アルティザン”を立ち上げました。
しなやかなタンニンと果実味が特徴的なクラフト(手造り)ボルドーです。

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メドックで僅か3%のみ”職人のワイン“

企業経営のシャトーが並ぶボルドー左岸において、3世紀にわたり家族経営を続ける小規模生産者シャトー・ミカレ。古い記録にはジロンド川に近いラマルク村のパティシエだったジャン・プロー(Jean Perau)が、1800年代後半より兼業でワインを造っていたと記されています。当時から既にパリのコンクールでグランプリを獲得するなど、そのワインは高い評価を得ていました。その後1970年代にドニ・フェデュー(Denis Fedieu)が畑を購入、徐々にその面積を10haに増やしました。現在は、キュサック・フォー・メドック(佐賀市姉妹都市)村長でもある次男のドミニク(Dominique)がシャトーを受け継ぎ、ワイン造りに邁進しています。既にリタイアしたドニの手も借りながら、親子でクラフトボルドーを紡いでいきます。

『ボルドーには貴族が造るワイン(=特級格付けシャトー)、農民が造るワイン(=大量生産でネゴシアンへ販売)、そして私たち職人のワインがある。私たちの様に家族経営で少量のみを手造りしているシャトーは、メドックの中でも僅か3%程しかない』

公式格付け”クリュ・アルティザン”

先代のドニ・フェデューは、メドックの小規模生産者グループ”クリュ・アルティザン(Cru Artisan)“の活動に力を注ぎました。“クリュ・アルティザン”とは、家族経営でブドウ栽培から販売まで行う小規模生産者を支援する為につくられたグループ。ドニと仲間達の努力もあり、2006年からはクリュ・ブルジョワと同等の格付けとして公式に認可されています。格付けは5年毎にブラインドによる試飲を行い見直しされますが、現在はメドックの36生産者が格付けされています。シャトー・ラフィット・ロートシルト等大手シャトーが100ha以上の畑を所有しているのに対して、クリュ・アルティザンの多くの生産者は所有畑10ha以下。自らの手で耕作が可能な範囲の畑で『自分達が飲みたいワイン』を造る事にこだわっています。その為、彼らのワインにはテロワールの個性と共に造り手の個性も明確に表現されているのです。

『日本ではまだ”クリュ・アルティザン”は殆ど知られていません。ぜひ私たちのような昔ながらのボルドーの小さな職人のワインにも目を向けて欲しいです』

有機農法による伝統的ワインへの回帰

シャトー・ミカレは2004年に3haの畑からビオロジック農法の導入を始め、2006年には所有する全ての畑で転換を完了しました。元々先代のドニは除草剤は使わずに馬で畑の耕作を行っていましたが、ビオロジック転換へのきっかけをつくったのは当時働いていた一人の若い見習い男性でした。彼の両親がボルドー郊外で営むビオロジック栽培の畑に見学に行き、ドミニクはその状態の良さに感銘を受けました。そして自分の畑の有機農法への転換も決意したのです。現在では”クリュ・アルティザン”の中でもビオロジック栽培の先駆者として、他の造り手に影響を与えています。


シャトー・ミカレのもう一つの特徴はメルロの比率の高さです。本来メドック地区では伝統としてメルロ主体のワインが造られていました。この土地に根付いた伝統への回帰を目指し、シャトー・ミカレではメルロを主体に仕上げています。醸造は極めて伝統的な手法。全て手摘みで収穫したブドウは、1970年代から使われている古いプレス機で圧搾。基本的には発酵は野生酵母のみを使用しますが、万一発酵が始まらなかった場合にはビオ酵母を添加する等、柔軟に対応します。熟したメルロのシルキーな口当たりと良質の酸が心地良く、まるでブルゴーニュの様な繊細さを持つボルドーです。